「Oculus Go」気になるなら買うべき!低価格でVRを手軽に体験できるスタンドアロン型VRヘッドセットの決定版 簡易レビューその1

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VR元年と言われた2016年から久しいですが、残念ながら私の周りにはVR機器を使っている人間は一人もいません…(泣)。私はメインのPCがMacなのでパソコンで遊ぶVR(以下PCVR)には、手を出せずじまいだったのですが「PlayStation VR(以下PSVR)」には真っ先に飛びついたクチです。
しかし最近ではなかなか起動してあげられなくて、レンズが湿気で痛まないように定期的に拭いてあげるだけの日々が続いています。

PSVRは遊ぶと楽しいのは分かっているのですが、なかなか重い腰が上がりません…。
まず線のごちゃごちゃしたPSVRを防湿箱から取り出して接続し、PSの電源を入れて、PSVRの電源を入れて、コントローラーを手探りで握って…という手順が億劫なのです。
加えて、VR酔いに弱いタイプなので、体調が万全の時じゃないと遊べません。

それでもVRゲームのもたらしてくれる刺激的な体験が好きなので、邪魔なケーブルがなく手軽に遊べる携帯用のVRゴーグルとかスタンドアロン型のはしり「IDEALENS K2」等にも手を出しましたが、どれも常用するには至りませんでした。

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そんな面倒くさがりな私が、ついにコレだ!と思えるガジェットに巡り会いました。
PCVRの雄「Oculus Rift」を展開するOculus社が2018年の5月に満を持して発売した「Oculus Go」です。最大の特徴はPC等を必要としないスタンドアロン型のVRヘッドセットという点(誤解を恐れずに、ぶっちゃけて例えるとGearVRにGalaxyのような高性能Androidスマホを最初から組み込んたヘッドセットだと思って下さい。システムや対応アプリも同じ同じOculusプラットフォームののGearVRとほぼ一緒です)
初回設定やゲームコントローラーのペアリング時のみスマートフォンが必要ですが、基本的には被るだけですぐにゲームやVR動画を楽しむことができます。専用のストアも用意されているので、これ一台でVR体験が完結してしまいます。PCやPSへの接続やスマートフォンをゴーグルに入れる手間も必要ありません。

スペックも申し分なく、ちょっと前のハイエンドスマートフォン並みの性能なので、PSVRには見劣りしますがPS2〜PS3クラスのグラフィック性能はあります。しかも両目で2560×1440ピクセルという高解像度な液晶パネルを使っているので、PSVRはおろかハイエンド用の「Oculus Rift」や「HTC VIVE」よりも解像感があり、VRヘッドセットとしての画質は現在最高峰です。
(液晶パネルなので、発色や黒の表現力は有機ELに劣りますが、ちょっと白っぽく見えるだけで十分綺麗ですよ)

以前にレビューした「IDEALENS K2」もそうなのですが、やはりスタンドアロン型のお手軽感は嬉しいですね。今までは少し時間があったらスマホでニュースを見たりゲームで遊びましたが、逆に今度は時間があったらVRヘッドセットを被りたくなります(笑)。
「Oculus Go」は標準でNasneに入っている動画も再生できるので、動画を見るのもスマホやタブレットではなく「Oculus Go」になりました(PSVRの「LittleStar」のような動画再生アプリがあらかじめ搭載されているので、どこでも映画館で見ている気分を味わえますよ)

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そして「Oculus Go」の最大の特徴が、32GBで23800円、64GBで29800円という圧倒的なコストパフォーマンスです。
PSVRの場合はVR機器の他にPS4本体も必要なので、総額で8万円ほどの費用がかかります。PCVRの場合はVR機器代の5〜8万円に加えて、高価なビデオカードを搭載したハイエンドPCが必要になりますので、最終的には20万円近い出費を覚悟しなくてはいけません…。
スマートフォンと組み合わせるタイプのVRゴーグルでも、Galaxy並みの高性能なハードを用意するとなると10万円くらいの費用がかかります。
(私はGalaxy S8+で遊んでいましたが、視野角110度でリフレッシュレートも高い「Oculus Go」の方が満足のできるVR体験を得られると思います)

ところが「Oculus Go」の場合は2018年半ばの時点で、2560 x 1440ピクセルと最も高精細な映像(PSVRは1920x1080、Oculus RiftやHTC Viveは2160x1200)に加えて、Galaxy S7並みの十分に満足のできる性能を持ちながら23800円と、海外からの直販限定となりますが驚異的な低価格で販売されております(海外通販に慣れている人なら問題ないと思うのですが、初めての方にはちょっとハードルが高いかもしれません)

コスト削減のためか、VRヘッドセットによく採用されている有機ELではなく液晶になっておりますが、逆にペンタイルが目立たないので、個人的には綺麗だと思いました(有機ELでもPSVRみたいにRGB配列のもありますが、PSVRの場合はレンダリング解像度が低いのでそこまで綺麗には見えない…)
加えてポジショントラッキングも非搭載で、スマホ+ゴーグルによくある三軸自由度(3DoF)トラッキングのみとなっております(頭の回転には追随しますが、位置の追跡は行われないので、物体に近づいたり覗き込んだりはできません)

トラッキングの関係から、PSVRやPCVRの方が本格的なものを体感できるのですが、ゲームで遊んだり動画を見る分にはそれほど問題にはならない(基本的に机やソファに座って遊ぶので)ので、上手い割り切り方だと思います。


公式通販はこちら
GearBestとかAliexpress等で海外通販に慣れている人なら、抵抗なく買う事ができると思います。
アメリカだとAmazon内に公式通販サイトがあるので、非常に購入しやすいのですが、日本のAmazonにはありませんね…。

[12/5 追記] ついに国内Amazonでも販売開始です。



開封レポート



注文から5日ほどで到着。海外からの直送なので、注文時は海外式で住所を記述しなければいけません。支払いにはPaypalも使えましたよ。

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箱を開けるとヘッドセットとご対面。
コンパクトに収納されていますが、やはりヘッドセットの箱はデカイですよね…。

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丁寧に各所がシールやフィルムで保護されていますね。
同梱されているのは、専用コントローラーと電池。メガネ用スペーサー。充電用のケーブルにクリーニングクロスです。コスト削減のためか、充電アダプタは同梱されておりません。こちらはスマートフォン用ので十分です。

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専用コントローラーは単三電池一本で動きます。
単四電池が二本必要だったGearVRのとも違いますね。
なかなか握りやすくて良いコントローラーです。

画面上ではこちらのコントローラーから伸びるレーザーポインターをマウス代わりにして操作します。
決定等はトリガーを引く操作で行います。また上部のタッチパッドはクリックする事も可能です。

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ヘッドセットは中国のシャオミ(Xiaomi)が開発。側面におなじみのロゴマークが入っています。
ちなみに「Oculus Go」の中国向けモデルは「Mi VR」という名前で売られていますが、本体・コントローラー共に若干デザインが違います。なんか物凄く売れてて、数万台の予約でいっぱいだとか…。

「Oculus Go」はシンプルながら親しみやすさと清潔感のあるデザインですね。
近未来的だった「IDEALENS K2」とは正反対。でも、頭に被った感触はK2の方が好みです。
バンドだと締め付けられるのがちょっとイヤ。

それにしても中国は「Vive Focus」(台湾HTCが中国で展開中)とか「Idealens Kシリーズ」(K3は4K対応で日本でも近日発売予定)とか、スタンドアロン型VRヘッドセットの開発が盛んですね。

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物理ボタンはボリュームキーと電源ボタンのみ。
充電用のインジケータでバッテリー状態も確認できます。

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一つ気になるのは「Oculus Go」はやはり鼻の高い外国人がメインターゲットのようで、私のような平たい顔族がヘッドセットを被ると鼻の辺りに隙間ができてしまいます…。この隙間から外界が見えると興が削がれる事もしばしば…。でも、ホラーゲームで怖くなったら、この隙間に視線を集中して恐怖から逃れます(笑)

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初期設定



早速起動してみましょう。
とりあえずスマートフォンにも接続せずに、ヘッドセットの電源だけを入れると、下の写真のように様々な言語でスマートフォンに接続するように求められます。
単体で文字入力も可能だし、WiFiに接続も出来るので、別にスマホがなくても良さそうなモノですけどね…?Oculus社を買収したFacebookの意向とか?

ちなみに、スクリーンショットは音量のマイナスボタンと電源ボタンで撮ることができます。
一般的なAndroidのやり方と一緒ですね。

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では、気を取り直してスマートフォンにOculusアプリを入れて実行。
Facebookでログインするように書かれていますが、普通にOculusのアカウントを取得してログインも可能。

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丁寧に動画で電源オンから接続までを解説してくれます。

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基本的にアプリの指示にしたがっていれば、あっという間に設定完了。

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ヘッドセットとの接続はBluetoothで行います。

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最初コントローラーにどうやって電池を入れるのか迷いましたが、解説動画で納得。
スポッと引き抜くだけ。

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コントローラーは回転情報のみを取得するので、あらかじめ利き腕を決めます。

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この注意書きは表示が長い上に飛ばせません…。
ちなみにVR機器は子供には使わせないように気をつけて下さい。
斜視になりやすいそうです。

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こちらがストアの画面です。
きちんと日本語に対応していますね。

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購入したアプリはライブラリに入っています。
「Oculus Go」の電源が入って入れば、遠隔でダウンロードも可能です。

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ヘッドセットを被って初期設定が完了。
ちなみに、こちらがホーム画面になります。おすすめ情報みたいのがずらっと並んでおります。ネットに接続していない状態だと、ライブラリの簡易表示のみでした。ぶっちゃけ、おすすめとか要らないので、カスタマイズさせて欲しい…。

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こちらはライブラリ。スマホで購入とかした場合も同期されて、ここからダウンロードできます。
イマイチ使い勝手が良くないので、自分の好きなようにアプリを並び替えさせて欲しいです。

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単体でストアも使えるので、スマートフォンやPCいらずでアプリ購入も可能です。

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こちらはChrome準拠のブラウザ。何気に高性能です。さすがChrome。

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ギャラリーからは本体やネットワーク機器に入っている動画等を再生できます。
DLNAに対応しているので、Nasneも特に設定する必要はなく、そのまま使えます。

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壁紙のような「環境」も変えることができますよ。

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ゲームパッドをペアリング



以降はスマートフォンいらずで使えるのですが、ゲームパッドのペアリングは単体では出来ないみたいなので、ついでにやっておきましょう。ゲームパッド必須のアプリも結構ありますし、便利な使い方も可能です。

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やり方は簡単で、設定のコントローラーから「新しいコントローラーをペアリング」を選択して「ゲームパッドをペアリング」を選ぶだけ。

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ちなみにゲームパッドと専用コントローラーは排他利用になるので、どちらかがアクティブな時はもう一方が使えません。
ゲームパッドをメインで使う場合は、視線(厳密には頭の角度)でポインターを操作して、ゲームパッドのボタンで決定などの操作が可能です。


何かと便利な開発者モードにしておく



ADB接続して、自作のアプリをインストールしたり、後述する方法で一般的なAndroidアプリをインストールするために、開発者モードをオンにしておくと便利です。
他にもChromeの拡張機能で「Oculus Go」の画面をPCに出力したり、「Oculus Go」をPCVR代わりにするなんて力技も可能です。

こちらもスマートフォンから行います。「設定」から「開発者モード」のボタンをオンにすると…

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ブラウザが立ち上がって登録を促されます。
1.Go toのところにあるURLをタップすると…

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団体名を入力するように求められるので、適当に入れて送信して下さい。

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これで開発者モードがオンになりました。

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以降はADB接続が可能になります。こちらは普段使っているAndroidの開発環境のものでOKでした。
うまく接続できない場合は、こちらから「Oculus Go ADB Drivers」をダウンロードしてインストールしてみて下さい。
ちなみにADB接続が成功した場合は、ヘッドセットの画面に「このPCからの接続を許可しますか?」みたいなダイアログが表示されているので、許可してあげて下さい。

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以降はライブラリ内の提供元不明の項目にインストールしたアプリが表示されるようになります。
注意点として、開発者モードがオンだとWindowsでUSBファイル転送が上手くいかなくなります。


普通のAndroidアプリを動かす



「Oculus Go」にはGoogle Play等が入っていないので、専用のストアからしかアプリはインストールできません。Google Cardboardに代表されるハコスコ(箱スコープ)用のアプリに関しては、APKを持ってきてインストールできても正常に動作しませんでした。

しかし「Oculus TV」というアプリを利用することで、2Dではありますが擬似的にVR空間内の巨大なTV画面にAndroidアプリを投影して実行する事が可能です。

やり方は簡単で、あらかじめスマートフォン等で既存のアプリのAPKを取得し、開発者モード状態でADBを使ったAndroidのインストールを行うと「Oculus TV」の一番下の提供元不明の欄にアプリのアイコンが登場します。

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もっと簡単に行いたい場合は「TvAppRepo」というアプリを使います。以下のURLから「app-opencommunity-release.apk」もしくは「app-playstore-release.apk」をダウンロードします。

https://github.com/ITVlab/TvAppRepo/releases

これをADBから

「adb install app-opencommunity-release.apk」等でインストールします。
(APKファイルはどちらでも好きな方を入れて下さい)

すると提供元不明の欄に「TvAppRepo」が登場するので、これを実行。
あらかじめ、本体の「download」フォルダ内の「oculus_downloaded_apks」にAPKを入れておけば、「TvAppRepo」からインストールが可能になります。

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もっと簡単に行いたい場合は、ADBから「ESファイルエクスプローラー」をインストールして「Oculus TV」から起動し、NAS等からAPKを直接インストールとういう方法も使えます。ちなみに「ESファイルエクスプローラー」を入れておけば、アプリの管理やアンインストール等も簡単にできるのでオススメです。

ちなみに「KODI」や「アマゾンプライムビデオ」等の動画視聴アプリなんかも動きます。
見慣れたアプリでも「Oculus Go」の大画面?で見ると、また違った感じなので、なかなか面白いです。
ただ、操作は困難ですので、色々試行錯誤する必要があります…(笑)

[12/5 追記] ついに国内Amazonでも販売開始です。



簡易レビューのつもりだったのですが、記事が長くなってしまったために、ゲームやVR動画、アプリの使用感などのレポートは後編に続きます









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